EGFRリキッド

概要

EGFRリキッド検査では、非小細胞肺癌患者の組織検体又は血漿検体から抽出したDNA中の上皮成長因子受容体遺伝子変異(EGFR遺伝子変異)を検出し、治療薬であるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)の適応判定をサポートします。

背景

肺がんの種類の一つである非小細胞肺癌では、遺伝子変異の種類によってがんの特徴が異なることが知られており、その遺伝子の種類に特異的に作用する薬剤開発が進められてきました。薬剤の投与には、遺伝子検査による判定が必須であり(コンパニオン診断)、低侵襲で感度の良い診断検査が求められていました。本品は、奈良先端科学技術大学院大学と大阪国際がんセンターの研究成果をもとに、リキッドバイオプシーにも用いることができる検査を医療現場に提供することを目指し、開発されました。
本技術はEGFR-NGSチェックをもとに開発しました。

EGFR-NGSチェック https://www.dna-chip.co.jp/diagnostic/egfr/index.html

使用目的

癌組織又は血漿から抽出したDNA中のEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失およびL858R)の検出(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩又はアファチニブマレイン酸塩)の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる)。

承認品目

承認品目:EGFRリキッド遺伝子解析ソフトウェア
〔体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)
 JMDN コード:70159013〕
承認日:2020年7月31日
適応:非小細胞肺癌患者
検体の条件:
(1)組織:未固定肺癌組織検体(手術検体、生検)
(2)血漿
対象遺伝子変異:エクソン19欠失、L858R
コンパニオン対象薬剤:
ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩

概略図

Q&A

Q.EGFRリキッドとはどのような製品ですか。
薬事承認(高度管理医療機器製造販売承認)された検査で、EGFR遺伝子の変異を調べます。非小細胞肺癌患者が対象で、血液もしくは未固定組織(手術検体、生検)を検体として、EGFR遺伝子のエクソン19欠失とL858Rの変異(活性化変異と言われる)の有無を陽性か陰性かで判定します。コンパニオン診断検査であり、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)の内、ゲフィチニブ(製品名:イレッサ)、エルロチニブ塩酸塩(製品名:タルセバ)、アファチニブマレイン酸塩(製品名:ジオトリフ)の適応判定に用いることができます。
Q.EGFRリキッド検査はどのような特徴がありますか。
従来品と比べて高感度であること、リキッドバイオプシーとして血漿検体にも対応できることを目指し、開発された次世代シークエンス(NGS)技術を用いた検査です。血漿検体では血液中に放出された腫瘍由来のDNA(血中腫瘍DNA、ctDNA)を高感度で検出することができます。血漿で30コピー / mL(エクソン19欠失)、1コピー / mL(L858R)以上の変異 DNA が含まれれば検出が可能です。
Q.EGFRリキッドの承認は何に対してでしょうか。
  また、薬機法上の分類、種別を教えてください。
類   別:プログラム1 疾病診断用プログラム
一般的名称:体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)
販 売 名:EGFRリキッド遺伝子解析ソフトウェア
分   類:高度管理医療機器
Q.この検査を受けることはできますか。どこで検査を受けられますか。
保険収載前です。保険収載後に、肺がん治療の主治医に相談してください。
Q.この検査で何がわかりますか。
肺がんのドライバー遺伝子変異の1種であるEGFR遺伝子の変異の有無を判定できます。EGFR遺伝子の変異の中で、エクソン19欠失、L858Rをみることができます。この検査により、ゲフィチニブ(製品名:イレッサ)、エルロチニブ(製品名:タルセバ)、アファチニブ(製品名:ジオトリフ)を投薬できるかどうかが判定できます。

対象となるEGFR遺伝子変異及び対応する治療薬
EGFR遺伝子変異エクソン19欠失、L858R
治療薬ゲフィチニブ(製品名:イレッサ)
エルロチニブ塩酸塩(製品名:タルセバ)
アファチニブマレイン酸塩(製品名:ジオトリフ)
Q.コンパニオン診断として使えますか。
ゲフィチニブ(製品名:イレッサ)、エルロチニブ塩酸塩(製品名:タルセバ)、アファチニブマレイン酸塩(製品名:ジオトリフ)のコンパニオン診断としてお使いいただけます。

用語集

遺伝子パネル検査:
多数の遺伝子の変異を次世代シークエンサーで同時検出する検査。使用用途はコンパニオン診断とゲノムプロファイリングに大別され、ゲノムプロファイリングは標準治療の効かなくなった患者の治療方針決定の補助に用いられる。
コンパニオン診断:
EGFR-TKIに対応するEGFR遺伝子検査のように、特定の薬剤を投与するためにあらかじめ行う遺伝子変異を検出する検査。
非小細胞肺癌:
最も多い肺がんのタイプで、全肺がんの90%以上を占める。肺がんには非小細胞肺癌以外に小細胞肺がんや大細胞肺がんがある。
血中腫瘍DNA・循環腫瘍DNA(Circulating Tumor DNA; ctDNA):
がん患者の血液中に存在する腫瘍細胞から放出された遊離DNA(cell-free DNA; cfDNA)。
リキッドバイオプシー:
がん患者の血液中にはがん細胞から放出された遊離DNAがあり、高感度な検出技術を用いれば、この遊離DNAを用いて遺伝子検査をすることが可能。血液を用いたがん遺伝子検査はリキッドバイオプシー(体液を用いた生検)とよばれ、生検の侵襲を回避できるほか、がんの早期発見にも役立つ可能性があるため、現在世界中で盛んに研究開発が行われている。
次世代シークエンス・次世代シークエンサー
(Next Generation Sequencing / Sequencer; NGS):
遺伝情報を解析する高度な技術で、個人の全ゲノム配列(全遺伝情報)でも低コストで得ることが可能(現在一人当たり10万円)。
EGFRリキッドでは全ゲノムを一回解析するかわりに、EGFR遺伝子のみを1万分子以上解析して変異を探索するため、目的の遺伝子変異が低頻度でも検出することを実現している。
精密医療(Precision Medicine):
遺伝子変異に基づいて治療法を個別に決定する新しい医療コンセプト。一人一人に適した最適な医療を指す。
米国のオバマ前大統領によって一般教書演説で取り上げられて以降、頻繁に用いられるようになった概念であり、次世代シークエンスといった遺伝子解析技術を駆使し、適切な薬剤を投与することを指す。
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤
(Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor; EGFR-TKI):
進行性非小細胞肺癌の治療に広く使われている薬剤。この薬の治療効果は、EGFR遺伝子に特定の変異(エクソン19欠失、L858Rなど)がある場合に限られるため、これらの変異の検出は薬剤選択の条件とされている。日本では、進行性非小細胞肺癌におけるEGFR変異陽性の比率は50%以上であり、これらの肺がん患者に対して年間5万件以上のEGFR遺伝子検査が実施されている。
PMスコア:
EGFR活性化変異(エクソン19欠失、L858R)を示すリード数をそれぞれカウントし、全リード数に対する割合を10万リードあたりのリード数へ換算した値(PMスコア=変異リード数/全リード数×100,000[小数点以下切り捨て])。このPMスコアデータにもとづき陽性陰性判定を行う。

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