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EGFR-NGSチェック

EGFR-NGSチェック

EGFR-NGSチェックとは
(医療関係者様向け情報)

概要

EGFR-NGS チェック は血中腫瘍DNA を用いて非小細胞肺癌の対象者に対し、上皮成長因子受容体(EGFR) に対するチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI) の感受性変異の有無を調べるものです。

※ 本技術は大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)の研究成果をもとに、DNA チップ研究所と同センターが共同開発しました。

  • リキッドバイオプシー技術と次世代シーケンスを組み合わせたEGFR変異検出技術
  • 最も検証された血中腫瘍 DNA 定量検出システム
  • 288症例の多施設前向き試験で検証
    -対象疾患:非小細胞性肺癌( Ⅲ B 及びⅣ期)
    -EGFR 活性化変異:エクソン19欠失,L858R ,L861Q, L861R
    -EGFR 耐性変異:T790M,C797S

関連検査 EGFRリキッド

開発背景

上皮成長因子受容体(EGFR)に対する特異的なチロシンキナーゼ阻害剤はイレッサに代表される薬剤で、現在は第3世代まで国内で承認されています。これらのチロシンキナーゼ阻害剤は高い奏功性で抗腫瘍効果があるといわれています。

しかし、最終的には投与したほとんどの患者において耐性を生じてしまい、その多くは投与開始後約1年以内に現れ、耐性獲得後は腫瘍が増大することが知られています。 この様に継続して治療を続けることにより悪性新生物が当該治療薬に対して耐性を備えてしまい、それ以上の治療効果を望めなくなることがあります。 そこで、投薬治療を受けている患者における悪性新生物の特定薬剤に対する耐性の有無の観察が必要となります。

そのため、血中腫瘍DNAによる耐性変異を観察するための技術開発を行いました。

※本技術は大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)の研究成果をもとに、DNA チップ研究所と同センターが共同開発しました。 原著論文等はこちらをご参考ください。

EGFR遺伝子変異検出の重要性

イレッサに代表されるEGFR (Epidermal Growth Factor Receptor)チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)は、 非小細胞肺癌に対する分子標的薬のファーストラインとして臨床応用されています。 EGFR-TKIの効果は、EGFR遺伝子変異の有無により異なることが明らかとなっており、 個々の症例の変異状態に合わせた投薬が必須となっています。

これまでの研究から、非小細胞肺癌において上図のようなEGFR遺伝子領域で変異が生じることが明らかとなっています(上図)。 この中で特にエクソン19の欠失変異とエクソン 21の点突然変異(L858R)に関してはEGFR-TKIの効果と密接に関連することが報告されており、 これら 2つの変異がEGFR-TKI感受性変異の大部分(約90%)を占めることが知られています。

また、EGFR-TKIは投与を続けるとその大部分に耐性が生じることが明らかとなっています(下図)。 この耐性獲得にはEGFR遺伝子エクソン20の点突然変異(T790M)が関連するとされ、 耐性獲得症例の約50%でT790M変異が検出されることが報告されています。

さらに第三世代EGFR-TKI投与例においても約1年で耐性変異が生じることが報告されており、 第三世代EGFR-TKI投与例では、耐性獲得メカニズムの一つとしてC797S変異の関与が報告されています。

血中腫瘍DNAについて

EGFRなどの肺癌遺伝子変異の同定には、通常、腫瘍組織の採取が必要となります。 組織採取のための肺生検は、しばしば患者にとって大きな負担になっています。 血液検査など、より低侵襲な検査で代替できれば、医療に大きく貢献することになります。

癌細胞は増殖を繰り返しながら、一部の細胞は壊死・アポトーシスを起こし、その細胞死によって血中に遊離DNAが放出されます。その結果、血中で循環する癌由来の遊離DNAはctDNA(circulating tumor DNA )と呼ばれ、がん患者の血中に微量に存在する事が知られています。

一方で血中腫瘍DNAは極微量であるため、変異を高感度に検出することが難しい検査です。 そこで我々は次世代シーケンサー技術を活用し、EGFR遺伝子変異の配列を10万回もの読取りを行うことで、変異を探索する手法(NGS-EGFRチェック)を開発しました。

現在ではリキッドバイオプシーという血液などの体液サンプルを使って診断や治療効果予測を行う技術が知られており、NGS-EGFRチェックもその1種です。 患者の負担が従来よりも少なく、様々な癌の変異検査としても期待されています。

論文・学会発表

学会発表

第58回日本肺癌学会学術集会 ランチョンセミナー 4(LS4)
発表日時:2017年10月14日
演題名:リキッド・バイオプシーによる包括的遺伝子診断
演者:加藤 菊也(奈良先端科学技術大学院大学疾患ゲノム医学)

第57回日本肺癌学会学術集会 ランチョンセミナー25 (LS25)
発表日時: 2016年12月21日(水) 11:55 ~ 12:45
演題名: EGFR変異陽性肺癌における血中腫瘍DNAの動態病理
演者: 加藤 菊也(株式会社DNAチップ研究所/前大阪府立成人病センター研究所長)

原著論文

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