BluePrint(ブループリント)
BluePrint®(ブループリント)は、 80遺伝子の発現量とそのパターンを調べることで個々の乳がんに固有の生物学的な違いを同定します。BluePrint は腫瘍を3つのサブタイプ(Luminal型、HER2型、Basal型)のいずれかに分類し、個々のがんの長期的な予後や全身療法に対する感受性についての貴重な情報を提供します。
BluePrintはMammaPrintと同じFFPEサンプルを用いて同時に検査ができます。BluePrintも合わせて行うことで、早期乳がんの包括的な遺伝子解析が可能になり、治療方法の判断が高い精度でできるようになります。
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分子サブタイピング
※遺伝子発現検査による分類 -
4分類:
Luminal-A型
Luminal-B型
HER2型
Basal型
遺伝子プロファイリングをもとにした分子サブタイピングでは従来の臨床病理学的情報をもとにしたサブタイプ分類に基づく治療と比較して反応性が良いため、現在では乳がん患者に対して最も適した治療選択のための最適な検査として推奨されています。現在、腫瘍のサブタイプ分類は一般的に免疫組織染色(IHC)あるいは蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)で行われていますが、これらの手法による分類は本来の遺伝子プロファイリングの結果と相違することもあり、患者は治療にオーバートリートメント、アンダートリートメントが生じるリスクにさらされています。遺伝子発現解析により乳癌の不均一性が裏付けられ、遺伝子プロファイリングにより乳がんがサブグループ(サブタイプ)に分けられ、それぞれの分子サブタイプに合わせた治療法を選択することで、患者の予後、QOLを改善することが可能になります。
BluePrintによるサブタイプ分類
Luminal型
Luminal(ルミナル)型の腫瘍は、主にエストロゲンホルモン経路とプロゲステロンホルモン経路により増殖が促進されます。BluePrintではMammaPrintの結果と合わせ、Luminal型をさらにLuminal-A型(MammaPrint低リスクの腫瘍)とLuminal-B型( MammaPrint高リスクの腫瘍)に分類します。これら2つのLuminal型は、予後が大きく異なるため、治療に際して知っておくべきであり、治療法の選択に反映することでよりよい治療結果が期待できます。
Luminal型の乳がんの特徴は、乳管と乳腺の内腔を覆う上皮細胞の遺伝子が発現していることです。Luminal型のがんは、特徴としてホルモン受容体陽性の腫瘍からなるため内分泌療法に反応します。Luminal型の分子サブタイピングの結果は、腫瘍の表現型がintrinsic subtypeによるluminal型に近いことを示しています。MammaPrint ローリスクおよびLuminal型に分類される患者はluminal-A型で、一般的に内分泌療法が行われます。MammaPrint ハイリスクおよびLuminal型に分類される患者はluminal-B型で、化学療法を含むより強い治療が効果が高いと考えられます。
HER2型
HER2型の腫瘍は、主にHER2経路により増殖が促進されます。この分子サブタイプは、必ずしもIHCあるいはFISHによるサブタイプと一致しませんが、BluePrint による HER2型の患者は術前化学療法においてHER2を標的とした治療に対して良好な反応を示します。治療薬の進歩により、HER2型の患者は抗HER2薬による治療を行うことで、良好な長期転帰が得られます。
Basal型
Basal型の腫瘍は、ER経路、PR経路、あるいはHER2経路のいずれにもよらず、臨床的にトリプルネガティブと呼ばれる腫瘍に近い挙動を示します。この分子サブタイプの腫瘍は予後が不良で、化学療法の標準的なレジメンあるいはトリプルネガティブの腫瘍に対する新規のレジメンが有効性が高いと考えられます。Basal型の腫瘍の予後の悪さを考慮すると、適応となる患者では、術後の化学療法よりも術前の化学療法のほうが有効性が高いかもしれません。
Reclassification
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ER+/BASAL の患者
BluePrint:Basal型
MammaPrint:ハイリスク臨床的にはこの患者のがんはおとなしい、つまり内分泌療法の適応に見えますが、生物学的にはトリプルネガティブのがんに近いことが示されています。このような患者では化学療法などの強い治療が良い予後が得られる可能性があります。
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ER+, HER2+/LUMINAL の患者
BluePrint:Luminal型
MammaPrint:ハイリスク病理学的にHER2+と診断された患者の50%近くは、分子サブタイピングによりLuminal型に再分類されています。ER+, HER2+/LUMINAL の患者は臨床的サブタイプと分子サブタイプ共にHER2型の患者と比べて抗HER2薬への感受性が低い可能性があります。
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22%
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NBRST 試験において、BluePrintにより、症例の22%で腫瘍は従来の臨床サブタイプとは異なる分子サブタイプにReclassification(再分類)されたことが明らかになり、患者個人の分子サブタイプに即した治療への機会が開かれました。
検査項目
BluePrint + MammaPrint
※BluePrintはMamaPrintと組み合わせて検査を行います。
乳がん腫瘍組織のFFPE
使用目的
早期乳がんの患者の手術またはバイオプシーにより採取した組織(FFPE)を検体として、分子サブタイピングを行い、薬剤投与の判断をサポートします。
適用
BluePrintは、初期の乳がん(ステージI、ステージII、手術可能なステージIII)を対象としています。
条件については、以下のとおりです。
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初期の乳がん
ステージI
ステージII
手術可能なステージIII -
リンパ節転移
なし
あり(1~3個) -
腫瘍の大きさ
5㎝以内 -
年齢
制限なし
(閉経前後いずれも対象)
検体
乳がん腫瘍組織のFFPE
この検査は、手術により摘出された組織や生検(バイオプシー)のFFPE組織を検体としています。
FFPEは、10枚連続スライド(各スライド5µm)を準備してください。
オプションでブロックでも提出可能です。
スライド | ブロック(オプション) |
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10枚連続スライド (各スライド5µm) |
各ブロックごとにキットに付属のバーコードシールを貼ってください。 |
※検体送付用のキット(スライドグラスを含む)をご用意しております。
※MammaPrintとBluePrintは、同一検体を用いて行われます。
検査案内
納期は、検体発送から10~15営業日です。
検査成功率は95%です。
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M納期:
検体発送から
10~15営業日 -
検査成功率:
95%
検体送付の流れ
1.医療機関 → DNAチップ研究所
キットのご依頼
検査キットのお申込み:MammaPrint には、専用の検査キットがございます。ご依頼のご予定がございましたら、お電話、FAX、WEBお問い合わせフォームより検査キット送付のお申し込みをしてください。
2.DNAチップ研究所 → 医療機関
キットのご送付
検査キットの送付:DNAチップ研究所より、検査キット及び検査依頼書を必要個数送付いたします。
3.医療機関
検体作製
検査依頼:検査キットを用いて、検体を作製してください。
原則、検体送付日に検査依頼書をFAX送信してください。
※手順書が、キット箱に同梱されています。
FFPEサンプルのご提出方法
4.医療機関 → DNAチップ研究所
依頼書・検体送付
ご施設からの検体送付:検体と検査依頼書(4枚目)をキット箱に入れ、キット箱同梱の袋に入れたのち、同じく同梱のゆうパック伝票(チルド便)を貼付し、DNAチップ研究所にお送りください。
検査依頼書をFAX送信してください。
5.検体送付
Agendiaへの検体送付:DNAチップ研究所より、通関手続きを行い、検体をAgendia(オランダ)に送付します。
6.Agendia
検査
検査実施:Agendiaのラボにて検査を実施します。
7.Agendia → DNAチップ研究所
検査報告(ポータル)
検査結果報告:Agendiaより専用ポータルサイトを介して、DNAチップ研究所に検査結果が報告されます。
8.DNAチップ研究所 → 医療機関
検査報告書送付(印刷物、PDF)
検査結果報告書のお届け:DNAチップ研究所より、ご依頼いただいた医療機関様に検査報告書(英文及び和文)を送付(郵送)いたします。
※E-Mail送付も承っております。
検査報告書サンプル
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MammaPrint ハイリスク/
BluePrint Luminal-B -
MammaPrint ローリスク/
BluePrint Luminal-A
検査報告書の読み方
検査報告書の読み方について、資料をご用意しております。ご希望がございましたら下記の「お問い合わせ」よりお申し込みください。
Contact
お問い合わせ
検査に関するご依頼、お問い合わせは下記より担当窓口へお問い合わせください。