EGFRリキッド 添付文書(概要)
使用目的
癌組織又は血漿から抽出したDNA中のEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失およびL858R)の検出(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩又はアファチニブマレイン酸塩)の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる)。
表1.対象とする変異
エクソン19欠失変異(12種)
COSMIC ID | 変異ID/塩基変異 | アミノ酸変化 | EgfrリキッドID |
---|---|---|---|
6223 | 2235_2249del15 | E746_A750del | EGFRe19del3 |
6225 | 2236_2250del15 | E746_A750del | EGFRe19del4 |
23571 | 2238_2252del15 | L747_T751del | EGFRe19del6 |
6255 | 2239_2256del18 | L747_S752del | EGFRe19del8 |
12382 | 2239_2248TTAAGAGAAG>C | L747_A750>P | EGFRe19del12 |
12383 | 2239_2251>C | L747_T751>P | EGFRe19del13 |
12370 | 2240_2257del18 | L747_P753>S | EGFRe19del14 |
12384 | 2237_2255>T | E746_S752>V | EGFRe19del15 |
12678 | 2237_2251del15 | E746_T751>A | EGFRe19del16 |
6218 | 2239_2247del9 | L747_E749del | EGFRe19del17 |
12416 | 2237_2253>TTGCT | E746_T751>VA | EGFRe19del25 |
18427 | 2237_2257>TCT | E746_P753>VS | EGFRe19del26 |
エクソン21変異(1種)
COSMIC ID | 変異ID/塩基変異 | アミノ酸変化 | EgfrリキッドID |
---|---|---|---|
6224 | 2573T>G | L858R | EGFRe21_L858R (T2573G) |
使用上の注意
重要な基本的注意
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本品の目的は、EGFR-TKI投与に関して、医師への補助的情報提供にある。
本遺伝子解析プログラムの結果だけで判断せずその他の医療情報と共に総合的に判断すること。 - 本品を癌組織または血漿から抽出したDNAを用いたEGFR-TKI投与前の非小細胞肺癌の検査以外の目的には使用しないこと。
- 本品をゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩又はアファチニブマレイン酸塩の適応を判定するための補助として用いる場合には、当該薬剤の本邦における最新の添付文書を参照のうえ使用すること。
- 使用目的に示した治療薬を除き、本品で得られた結果は特定の医薬品に対する適応判定を目的としたものではない。
- 検体の輸送及び保管については採血管(保存容器)の添付文書に指定された保存条件を維持すること。
- 血漿検査の結果の解釈の際には、日本肺癌学会が発出している「肺癌患者におけるEGFR 遺伝子変異検査の手引き」等の最新の情報を参考にすること。
-
本品のカットオフ値(閾値)は、血漿検体(エクソン19欠失:300、L858R:7)、組織検体(エクソン19欠失:300、L858R:68)で、この値に基づき陽性陰性判定が出される。
この数値は血漿で30コピー/ml(エクソン19欠失)、1コピー/ml(L858R)以上の変異DNAが含まれる場合に該当する。
本品の性能には限界がある。 - 本品にて陽性と判定された場合においても、偽陽性の可能性を考慮し、EGFR-TKI投与に際しては、性能の限界や偽陽性である場合に想定される不利益について、説明する必要がある。
-
血漿検査では、腫瘍由来DNAが血漿中に十分に滲出していないために、腫瘍組織にはEGFR遺伝子変異が存在してもEGFR遺伝子変異が検出できない可能性が考えられる。
そのため、血漿検査が先に実施され、EGFR遺伝子変異陰性の結果が得られた場合には、可能な限り組織検査の実施を考慮すること。
上記を踏まえ、血漿検査は組織検査と完全に置き換わる検査ではないことを十分に理解したうえで検査を実施すること。 -
本品の解析対象となる組織は、未固定な検体に限定されている。
腫瘍組織はDNAの分解を避けるために、採取後ただちに腫瘍含有部位を3mm角(1mm角以上5mm角以下)に切り出し、-80℃で凍結あるいは核酸分解阻害剤を含む溶液(RNAlaterなど)に入れて保管し、凍結組織はドライアイスを用いて輸送する。
核酸分解阻害剤を用いた保管、輸送について詳しくは、製品の使用説明書に従うこと。
検体の採取、保管、輸送状況によってはDNAが分解する可能性がある。 - 本品は、組織検体で5%未満(血漿では100コピー/ml未満)のアレル頻度のEGFRエクソン19欠失、L858R変異も検出する。ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩及びアファチニブマレイン酸塩の有効性及び安全性を検証するための臨床試験において評価されていない集団も陽性となる可能性があり、当該集団への有効性及び安全性は十分に確立していない。
その他の注意
- 性能
-
相関性試験(血漿-生検検体)
既承認品との同等性が立証されているPNA-LNA PCRクランプ法(生検検体)を対照として、血漿検体を用いた本品プロトタイプの性能を評価した(表2)。
全症例数288。
薬剤対象患者(ステージIIIb-IV、172症例)について、感度はエクソン19欠失 69.4%、L858R 71.9%、特異度はエクソン19欠失100%、L858R 97.1%であった。
この結果から本品は十分な臨床的有用性があると結論した。
表2.相関性試験(血漿-生検検体)
全症例 (288症例)感度 エクソン19欠失 50.9% (37.9 - 63.9) L858R 51.9% (38.7 - 64.9) 特異度 エクソン19欠失 98.0% (88.5 - 100) L858R 94.1% (83.5 - 98.6)
IIIB-IV(172症例)感度 エクソン19欠失 69.4% (53.0 - 82.1) L858R 71.9% (54.5 - 84.6) 特異度 エクソン19欠失 100.0% (86.5 - 100) L858R 97.1% (83.8 - 100)
全体感度 全症例 54.4% (44.8 - 63.7) I - IIIA 22.2% (11.5 - 38.3) IIIB - IV 72.7% (60.9 - 82.1) -
相関性試験(未固定肺癌組織)
肺癌組織(凍結・未固定)から精製したDNAをPNA−LNA PCRクランプ法と本品で変異検出を行い、両者の同等性を検証した(表3)。
検体数は156。
エクソン19欠失とL858Rをあわせた合致率、陽性一致率、陰性一致率は96.2%、88.2%、100%であった。
両者は同等である。
表3.相関性試験(未固定肺癌組織)
エクソン19欠失クランプ法 陽性的中率 陰性的中率 陽性一致率 陽性一致率 陽性 陰性 EGFR
リキッド陽性 20 0 100.0 87.0 陰性 3 133 97.8 100.0 クランプ法 陽性的中率 陰性的中率 陽性一致率 陽性一致率 陽性 陰性 EGFR
リキッド陽性 25 0 100.0 89.3 陰性 3 128 97.7 100.0 クランプ法 陽性的中率 陰性的中率 陽性一致率 陽性一致率 陽性 陰性 EGFR
リキッド陽性 45 0 100.0 88.2 陰性 6 105 94.6 100.0 結果が合致した
検体数全検体数 合致率 95%信頼区間
(下限)95%信頼区間
(上限)エクソン19欠失 153 156 98.1 95.4 100 L858R 153 156 98.1 95.4 100 エクソン19欠失
+
L858R150 156 96.2 92.8 99.5
-
相関性試験(血漿-生検検体)
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